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2015.04.17(Fri)

「望むことは罪ですか?」何が真実なのか分からなくなる5つの短編集

『鍵のない夢を見る』 辻村深月

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ハラハラする(ミステリー)

『鍵のない夢を見る』

辻村深月

読みやすさ:
読みたい!
3

こんな人におすすめ!

・暑い!涼しくなりたい!
・惹き込まれるような、ぞっとする小説を読みたい!
・くらくらするような小説を読みたい!

あらすじ

「仁志野町の泥棒」
ミチルの学校にやってきた明るくて運動神経の良い同級生。
その同級生の家族にまつわるある噂がながれはじめて・・・?

「石蕗南地区の放火」
笙子は彼氏ができない。「女としての魅力は十分なのに、どうして皆分からないの。
今も自分にはしつこく付きまとう男がいる」けど・・・?

「芹葉大学の夢と殺人」
「夢を追う」そんな共通点でつながったある大学生の男女。
しかし、現実と理想はどんどん噛みあわなくなり・・?

他2編収録。

情緒不安定な人は要注意!ぞっとする5つの体験を貴方に

夏ですね!そんな暑い夏の日に、ぞっと涼しくなるような小説読んでみたくありませんか?

そんな人にお勧めなのが、直木賞受賞作品「鍵のない夢を見る」です。

彼氏が欲しい。
結婚がしたい。
ママになりたい。
普通に幸せになりたい。
そんな望みが転落を呼び込む。
望むことは罪ですか?

タイトルに惹かれて、読みましたが、かなりぞっとしました・・。
本書は「ツナグ」などで人気作家の辻村深月の直木賞受賞作品です。本書は「ツナグ」のような感動系のストーリーではなく、不思議な雰囲気を存分にだしている作品です。

本書には5つの短編集が含まれていますが、地方を舞台にした、普通の女性を主人公にしています。

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本書で目に付くのは主人公たちの強い自意識、欲望です。
彼女たちは、誰もが待つような欲望を抱いて、自分の置かれた状況にモヤモヤした気持ちを抱えています。

恋愛、結婚、出産。
普通の幸せ、ささやかな夢を叶える鍵を求めて魔が差す瞬間

そんな気持ちに見当たりがある人もいるのではないでしょうか。

ただし、主人公たちは悩んでいるが故に、自分に疑いを持てず、自分の意見に偏って考えています。

自分の信念に疑いを持たずに、自分の意見に偏って考えている。

本書は「うわぁありえない」と思って読んでいる内に、だんだんと自分や自分の考えに自分は偏っているんじゃないか、もし偏っていたとしたら、偏らない考えとはなんだろうと、だんだん不安になってくる不思議な作品です。

惹きつけるよりは、惹き込まれるという表現がぴったりの本です。

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理想と現実のズレを書いた、芹葉大学の夢と大学

5編収録されている中で、一番おすすめなのが「芹葉大学の夢と大学」です!

主人公の未玖は、絵が得意な大学生で、将来は絵の仕事をしたいと考えていました。
そんな未玖が出会ったのは、端正な顔立ちでクールな雄大。冷静そうな外見とは裏腹に、将来の夢を追う雄大。未玖と雄大は徐々に惹かれあっていきます。

大学に来てから、周りの人たちの思考が停滞してることに、ずっとイライラしたんだ。

俺の夢はバカみたいに大きいから、正直、無謀かなって思う。だけど諦めないよ

しかし、未玖が先に大学を卒業して社会人になる。
未玖が現実と理想の折り合いをつけるようになってくると、雄大と未玖の間の溝がどんどん深くなっていきます。

彼らは地に足をつけて、夢を見ていただけだったんじゃないだろうか。これまで去勢を張るようにイラストだけに固執してきた自分がちっぽけで、くだらない存在に感じた。

いつまでも夢に固執する雄大はある事件を起こし、物語の展開は狂気的に変貌していって・・・・。
事件に巻き込まれた未玖がとった衝撃的な行動とは一体?

何よりもラストに未玖が発した言葉に、心底震えました(笑)

ちょっと涼しくなりたい、不思議な世界に迷い込みたい時に、是非手に取ってください。

みんなの口コミ、レビュー

遠くにあるものだと思っているけど実は身近にあるものだと。ちょっと怖くなってしまいました。
出典 読書メーター

辻村さんのえがく「嫌な人」はどうしてここまで嫌な人に書けるのでしょう…と、不思議になってしまうくらいです。こんな風にはならない!と思っていてもどこかでひとつボタンをかけ違えたら転がり落ちてしまうのではないか、というひやりとするような感覚に襲われた。
出典 読書メーター

各話、主人公の女性の不安定な感情が描かれる。読んでいるとその不安感に引き込まれるようで、くらくらする。
出典 読書メーター

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