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2015.03.30(Mon)

「死んだ人をみてみたい」そんな残酷な好奇心から始まった。少年たちの夏休みの物語。

『夏の庭』 湯本香樹実

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泣ける(感動)

『夏の庭』

湯本香樹実

読みやすさ:
読みたい!
16

こんな人におすすめ!

・切ない小説を読みたい
・読後、満たされた気分になりたい!
・夏の気分を先取りしたい!

あらすじ

・サッカーも塾も一緒の仲良し小学生トリオ”木下”、”河辺”、”山下”。
・山下が葬式に参加したことをきっかけに、河辺が「死んだ人を見たい」と言い出す。
・そこで、三人は近所で一人で住むお爺さんを観察し始める
・三人が張り込んでいる内に、三人とお爺さんは顔見知りになり、徐々に親しくなっていく。
・三人とお爺さんが親しくなっていくに連れて、分かっていくお爺さんの優しさや人生とは?

世界10か国以上で刊行されたベストセラー「夏の庭」

こんなに綺麗で繊細な小説だったなんて!

「夏の庭」を最後に読んだのは、中学生の頃だったかもしれません。
本書が海外でも絶賛されている作品で、もう一度読み直したいと思い、手に取りました。

そして、数年ぶりに再読して驚きました!

この本がそんなに切なくて、寂しい雰囲気の物語だと思わなかったからです。

風が通り過ぎるように、さらっと心に入ってきて、通り過ぎる。なのに、切なさと少しの優しさを残すような感覚でした。

朝の電車で、本の終盤のシーンを読んでいましたが、寂しさと優しさの混じった感動に満たされて、
目がウルウルしてきました(泣きやすい人は泣いてしまうかも)

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「夏の庭」は、生と死という重たいテーマを扱っています。
きっかけは、仲良し三人組の小学生の会話からでした。

「木下、おまえ、死んだ人、見たことないんだよな」
「あ・・・・・・ああ」
「オレもなんだ」
「だからどうしたんだよ」
「つまりさ」河辺は目を輝かせている。こわい。「ひとり暮らしの老人が、ある日突然死んでしまったら、どうなると思う」

物語としては、何気ない日々を描いていて表面上ではサラサラ読めます。
重たいテーマとは正反対な瑞々しい文体や表現のために、読んでいて重苦しさはないです。

少年たちは、お爺さんの家での屋根の修理や生活の家事手伝いを通して、普段一緒にいる仲間の意外な特技や気持ちを発見し、小さな成長を遂げていきます。
例えば、主人公は気分の悪そうな母親のために梨をむいてあげられるようになったりとか。

少年とお爺さんの死生観の違い

少年たちと交流を深めていく内に、最初は閉口していたお爺さんも、徐々に過去のことを語りだします。

「バババッと機関銃かなんかで」河辺は貧乏ゆすりをしている。
「そう」おじいさんは、あっさり答えた。
「人を殺すってどんな感じ」河辺は目を光らせている。

お爺さんが戦争を淡々と語る時のシーンは、印象的です。

そこには、少年たちの夢幻的で曖昧な「死」へのイメージと、まるで正反対なリアルで生々しい「死」があります。人間の死がいかに生きている人に影響を与えるのかが残酷なまでに描かれています。

出会った初めの頃、そんなお爺さんは、少年たちにとって「顔を覚えられない」くらいの存在でした。それが、少年たちは、お爺さんに対していつの間にか「思いやり」を持ち始めます。

少年たちの素直さと鈍感な思いやりから生まれる残酷さは、お爺さんとの交流を通して変わっていく様子を丁寧に書いています。

少年たちが自分のまわりや家族に対して、本当の思いやりを持つようになる、そんな成長していく一夏の過程が丁寧に書かれています。

梨木香歩の「西の魔女が死んだ」と雰囲気が似ているなと思いました。
「西の魔女が死んだ」が好きだった人も、是非手に取ってみてください♪

みんなの口コミ、レビュー

よみやすくて物語がしっかり入ってきた。おじいさんと子供たちの交流があたたかい。いい映画を一本見たような読後感だった。おじいさんが元気になっていく様子が好き。
出典 読書メーター

老人との友情、別れ、少年達のひと夏の体験と成長を描いた作品。「死」について書かれていますが優しくあたたかいイメージで描かれていてとても感動的でした。日本版のスタンドバイミーみたいでオススメです。
出典 読書メーター

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