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2015.06.19(Fri)

イケている男は何を考えているの?山田詠美の傑作青春小説

『僕は勉強ができない』 山田詠美

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元気になる

『僕は勉強ができない』

山田詠美

読みやすさ:
読みたい!
29

こんな人におすすめ!

・知り合いに飄々としたモテる男子がいる
・男の子を主人公にした高校の青春小説を読みたい
・気持ちが軽くなって、心に残る小説を読みたい

あらすじ

「ぼくは勉強ができない。でも、勉強よりももっと素敵で楽しいものがあると思う」

主人公の秀美は勉強はできないけど、女子からはモテる男子高生。ショットバーの年上の桃さんと付き合い、母親と祖父の三人で暮らす秀美は、高校では少し変わった存在だ。勉強一筋の脇山や、哲学的思考で常に思い悩む植草、男にモテることしか興味のない真理など、個性的な同級生との出来事の内に、世の中の当たり前や自分にとっての正しさを問い直していく青春小説。

20年前出版のロングセラー「ぼくは勉強ができない」って?

今回紹介する「ぼくは勉強ができない」は、かなりストレートなタイトルですね!
堂々と勉強できない宣伝をしているこの本はどういう内容なんだろうと、思わずジャケット買いしたくなりますね・・・(笑)

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「ぼくは勉強ができない」は20年前以上に出版されましたが、未だに文庫フェアで取り扱われるロングセラーの小説です。
補足ですが、センター試験の国語の小説の問題文として出題されたこともあります(センター問題は勝手に出題していい決まりだけど、山田詠美は問題の選択肢に答えはなかったとご立腹したようです)。

今回は「ぼくは勉強ができない」は、どんな小説なのかを紹介したいと思います。

 普通の感覚とは違った秀美君のちょっと哲学的な日常 

「ぼくは彼氏ができない」は、主人公の秀美が魅力的な小説です。

主人公の秀美は、飄々として熱量は低め、理屈っぽい高校生と違って、現実をわりきって達観している部分がある。現実的な楽観性があるのに、大人みたいなやさぐれた感もなく瑞々しい感性にみなぎっている。

実際に、たまにこんな男の人いますよね~。そして、決まってレディーファーストができて、女の子にもてちゃったりしている。

どんなに成績が良くて、りっぱなことを言えるような人物でも、その人が変な顔でもてなかったらずい分と虚しいような気がする。女にもてない人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずい分と虚しいような気がする。女にもてないという事実を前には、どんなごたいそうな台詞も色あせるように思うのだ。

そして、勉強はできないと公言していますが、物事を他の角度からじっくりと観察する能力に優れています。

勉強できることが一番正しいのか?物事を楽観的に考えるよりも掘り下げて深刻に考える方がか?着飾っている女子は清純派な女子よりも不純なのか?など、毎章違った視点で物事をみていきます。

女子からモテることばっかり考えている成績の悪い男子なんて、一歩間違えれば最低なんですけど(笑)

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 秀美のまわりにいる自由奔放な登場人物たち 

主人公の秀美と同じくらい強烈なキャラクターを持っているのが、秀美のよき理解者(?)である母親と祖父です。
秀美は仕事も恋もバリバリこなす母親から、女の子にモテてかっこいい男になれって育てられます。

週末には化粧をして、派手なドレスを着て、ぼくに褒め言葉を強要した後、男と出掛けて行く。祖父は祖父で、散歩の途中に出会うおばあちゃんに、しょっ中恋をして、ぼくに相談を持ちかける。デートの前など、ぼくのヘアムースを買ってに使いおめかしをするのだ。もう髪の毛なんてないくせに。

他にも、秀美の日常には色んな人が現れます。一方的な逆恨みをしている秀才の脇山には、「けどお前は、モテないだろう」とばっさりきる。清純派でクラスで一番可愛い女の子には「全て計算でやっているだとう」と言ってしまう。そうやって、高校生らしくない発言をする一方で、彼女に振られそうになって意気消沈したり進路に悩んで高校生らしいところも見せています。

高校生の頃は、上から言われたことを素直に従えば、大抵の道は開いていきますよね。
自分に掛けられた期待に自分なりの誠意をもってかえせば、大抵のことは上手く進みます。日本の学校教育が結果よりもその過程を重要視する傾向があるのも関係しているのかもしれません。

世間一般の言う誠実な態度をとるよりも、自分なりの誠実さをもって他人や自分に接してようとしているために、他の同級生よりも変わった立ち位置にいるんですね。

うっぷん晴らしに反抗するのではなく、あくまでも物事の本質を探っていく秀美には色々と考えさせられます。

「ぼくは勉強ができない」は、大人のための青春小説

「僕は勉強はできない」は高校生の青春小説ですが、読者のターゲット層は別の層にありました。後書きで作家の山田詠美は次のように述べています。

主人公の時田秀美は高校生だが、私は、むしろ、この本を大人の方に読んでいただきたいと思う。何故なら、私は、同時代性という言葉を信じていないからだ。時代のまっただなかにいる者に、その時代を読み取ることは難しい。

確かに高校生の時に勉強しなさい、言われてもリアルティなかったかな、と私は思います。

高校生の頃に、先生から後で後悔するから、これこれしなさいって言われても、高校生の時間の大切はピンときませんでした(笑)分からない時期は分からないからしょうがないと思いますけど、

その時代のまっただ中だからこそ、直に感じる気持ちもあれば、納得できない理屈もあるんだろうなと思います。
一人とも付き合ったことのない人が言う「彼氏なんて要らない」も、勉強がしてこなかった人が言う「学歴は関係ない」など、手に入れたことない時点で本当に自分にとって切り捨てるべきか否かは分からないことが多いのではないでしょうか。

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彼氏なんて要らないは、彼氏がいたからこそ取捨選択ができるし、学問や座学は要らないは、学問を究めたからこそ取捨選択できるんですよね。

皆が正しいといっていたから、その方向を向いていたのは誠実による結果だったのか、怠惰による結果だったのか。

普通に楽しめるだけでなく、少し考えさせらえる小説になっています。

是非、現代古典にも含まれている「ぼくは勉強ができない」を一度読んでみてはいかがでしょうか(^^♪?

みんなの口コミ、レビュー

現実にも物語にもモテる男には二種類あると思う。何でこいつがモテるか意味が分からない、見ててムカつくタイプとこいつがモテるのはしょーがないよなあって同性から見てもカッコ良くてこんな風になりたいなって心から思えるタイプと。秀美はまさしく後者の主人公でカラッとしていて気持ちよくそれでいてたまにはクヨクヨと悩んだりもする。 かっけーす。女の作者なのになんでこんなに男の気持ちが分かるんだろ。出典 読書メーター

高校でおすすめの本として紹介されていた作品。登場人物がみんな魅力的でいろんな価値観があるんだなと読んでいて楽しかった。
。出典 読書メーター

秀美くんの独特な考え、でも高校生の時なら誰もが一度は持ったことがあるような考えや悩みが、青春時代ならではの疾走感も加わって一気読みしてしまった。「女の子のナイトになれない奴が、いくら知識を身につけても無駄なことである」この言葉は、世の中全ての男性に送りたいなぁ…。
。出典 読書メーター

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