TOP > ハラハラする(ミステリー) > 10年前の友人をどこまで助けられる?イヤミス代表の心理サスペンス

2015.05.14(Thu)

10年前の友人をどこまで助けられる?イヤミス代表の心理サスペンス

『はぶらし』 近藤史恵

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ハラハラする(ミステリー)

『はぶらし』

近藤史恵

読みやすさ:
読みたい!
18

こんな人におすすめ!

・自分はお人よしだと思う
・ずうずうしい友達がいて、イライラする
・自分の幸せを追求するのは当たり前だと思う

あらすじ

・主人公の鈴音は独身アラフォー。恋人とは別れたけれど、脚本家としての仕事は順調だった。
・そんな鈴音の元に、10年前の同級生である水絵から「助けてほしい」と連絡がくる。
・水絵はシングルマザーなのにリストラにあい、他に行く当てがないと言う。
・水絵の就職先が見つかる1週間だけ泊める約束だったが、水絵の就職先はなかなか決まらず・・・。
・人は人に対してどこまで親切にすべきなのか、を考えさせれるサスペンス小説

”友達とは何か”、”善意とは何か”を考えさせられるイヤミス

相手が困っている人がいたら、手を差し伸べたくなりますよね。
けど、その手に離せられなかった時、貴方はその手を振り払わないで引き揚げてあげる覚悟をもっていますか?

想像してみてください。

もしリストラにあった元同級生が子供を連れて居候してきたら・・?

その同級生の職探しには仮登録の家が必要で、自分以外に行く当てがないと言われたら・・?

そして、その同級生は10年振りに連絡をきただけで、そんなに仲良くなかった同級生だったら・・・?

貴方はどこまで助けてあげられますか?

今回は二つの視点で、はぶらしの解説をします☺

resize

イライラするけど、読むのが止まらなくなる

鈴音に頼ってきた水絵ですが、読んでいるこっちまでイライラするほど、水絵の価値観はずれています。
こっちがイライラしてくるけど惹き込まれるミステリー小説を「イヤミス」と呼ぶようです。

そんな水絵のずれた価値観を、題名の「はぶらし」が表してます。

水絵は「新しいの買ったら返す」と鈴音から歯ブラシをもらいました。
普通だったら、新しく買った方を返しますよね?

なのに、翌日に水絵が鈴音に返したのは使用済の歯ブラシだったです・・・。

たった歯ブラシ二本、別に新しいものを買って返してもらえなくても鈴音は気にしない。

おそるおそる聞いてみた。
「買った新しいのは?」
「え?さっき使ったわ」

そう言われて返す言葉もない。
たった歯ブラシ二本だ。腹を立てるのも大人げない。

そう考えながら、鈴音はなんともいえない不快さを覚えていた。

鈴音はずうずうしい水絵に、イライラしますが、実際に自分が水絵の立場になったら、と思うと、何も言えなくなってしまう。

「イヤミス」の代表として、湊かなえの告白や沼田まほかおるのユリゴコロがあります。
上の作品で気に入った作品があった人は、是非読んでみてください。

toothbrush-free-photo2 (1)

恵まれている人は恵まれていない人をどこまで助けるべきか?

先進国でのシングルマザーの貧困率1位の日本。

そんな日本でシングルマザーしかも失業中の水絵と、独身で人気脚本家の鈴音は大きく境遇が違います。
年収面だけをみたら、鈴音は水絵と息子の耕太を養えるほどの年収があります。

だから、水絵は鈴音が助けてくれることを感謝しつつ、協力してくれてもいいんじゃないかっていう気持ちが見え隠れします。
自分の普段の生活でも、お金ある人は、もうちょっと協力って思うときありますよね(笑)

鈴音は確かに努力して、その地位を手に入れたわけですが、水絵が努力しなかったわけではない。水絵も一人で息子の耕太を育てているわけですしね。

努力しないと報われない。けど、報われないのが努力不足なわけでもない。

努力をして報われた鈴音と、努力しても報われない水絵。

鈴音は一歩間違えば自分も水絵と同じような立場になることを知っているからこそ、水絵を邪険にすることができない。だからといって、いつまでも世話をしてやる義務もない。

人に好感を抱いたり、動物や子供を可愛いと思えるのも、責任がないからだ。
通りすがりの犬を、「可愛い」と思ったからといって、「じゃああげます」と言われたら即座に断るだろう。
(略)
愛情の壺は有限で、しかも底が浅い。

手を差しのべることは簡単だけど、その手を差し伸べ続けることができるのか?

先が読めない展開で、最後までイライラハラハラしながら読まされました。
人に親切にすることで悩んでいる人、そうでない人も、是非読んでみてください。

みんなの口コミ、レビュー

人を助けたいとい言う気持ち、損得勘定、意地悪な気持ち、被害者意識、不信感、優越感、憐れみ、自己嫌悪…みんなが持ってるありふれた感情が、読み手の心が痛くなるほど(う~んわかる!いや~やめて!そうなのよね…しみじみ)書かれていて、とても心に残る作品でした
出典 amazon

私だったらどうするか?
もう、ドキドキしながら読み進めるのですが、、、
この後、同居を了承してからもすごい。

だんだん図々しくなっていく水絵と、イライラしながらも水絵に同情する鈴音。

もう、読んでて腹が立って腹が立って!!
一気に最後まで読み進めてしまいました。
出典 amazon

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
読みたい!
18
Comment